寝る前と昼寝後に泣く子の話

うちの子は、よく泣く子だった。ぐずぐず、と泣くのではなくて、怒りにふるえた泣き方だった。

泣くのは公園から帰るとき、お風呂に入らないと決めたのにママが連れて行こうとするとき、ビデオが終わりかけた時・・・などいろいろあったのだけれど、

 

特別によく泣いたのは、昼寝をした後だった。

 

昼寝が大嫌いでしない日も多かったのだが、やはり子どもなので、疲れるとうっかり寝てしまうことがある。

そうすると大変なことがおこる。

 

ベビーカーでも、車でも、うっかり寝てしまったら、

「寝てない!寝てないから、戻って!!」と怒りながら泣く。

 

まぁそれはすごい怒りなのだ。おやつとかなんかでごまかせるような怒りではなくて、もう寝起きの気持ち悪さなんかでぐずるようなものでもなくて、ただただ荒れ狂う。

戻ったこともあったし、物理的に無理でそのまま怒りがおさまるのを待つこともあった。

 

寝るのは夜8時、と赤ちゃんの頃から決まっていて、赤ちゃんのころはその前2時間ぐらい泣いていた。

こちらはだっこすれば、なんとかなったので、だっこしたりおんぶしたりで、なんとかやりすごした。

こちらは専門書でも「コリック」と言われていたので、まぁそんなものかな、と思っていた。

 

朝は、というと、常に上機嫌で6時に起きる。

「おちた!!」

といって、親を起こしにきた。

 

朝は起きても上機嫌なのに、なんで昼寝はだめなんだろう・・・。

そんな状態が幼稚園の年長まで続いた。

 

そんな娘も大人になった。思春期などいろいろあったけど、とてもすてきな大人になった。

 

そして思い出話をしていた時に、この話になった。

「いや、もう大変だった」

と話したら、娘が

「その頃のこと、ちょっとおぼえてるんだけどさ。うっかり寝てしまったら、その間楽しいことがおこって、それを見過ごちゃったんじゃないか、って思ってたんだよね。夜も、夜の間に起こっている楽しいことを見れない!って思うとくやしくてしかたなかったんだよね。」

 

そうだったのか。そんなに毎日が楽しくて、寝る時間も惜しかったのか。

それは泣く。私でも泣く。

ああそうだったのか、という気持ちとともに、楽しい幼児期を与えてあげられていたんだ、という安心感で、なんともいえない気持ちになった。

 

 

今、同じように泣く子を持っている奮戦中のお母さん、お父さん。

もしかしたら、同じ理由でお子様は泣いているのかもしれません。

何でこんなに泣くの、と親も泣きたくなるかもしれないけれど、こどもはそれだけ毎日が楽しいんだな、と思えば、ちょっと乗り越えられる気がしませんか。