読書録  「夏への扉」

「昔はよかった」という言い方は平安の時代からあったというけれど、何歳ぐらいから言うようになるのだろう。

 

私が初めて同年代から聞いたのは、中学3年だったかな。

新1年生の指導をしている時に、「昔はこうだったんだよ。それに比べて最近は・・」って同期が言っているの聞いて、「ほほぅ・・」と思った覚えがある。

 

それまで「昔は・・・」というのは、先生や親の言うことだった。こどもには語るべき過去というものはあまりないからね。同期が妙に大人に見えた。

 

今、私には、未来と過去もある。「昔は・・・」と語れなくはないが、「未来は・・・」と語ることの方が多い。

だって昔のことは箱にしまっちゃったもん。そのまま捨てちゃいたい箱も、愛おしくて涙ぐむ箱もある。でも1人のときにそっと取り出すだけ。

 

未来は、良いだけではなく、悪いところもたくさんあるのだろうね。

今と同じように。過去とおなじように。

そんな事はわかった上で、

それでも未来を思うとワクワクするのは、たぶんこの本のおかげ。

 

夏への扉 (ハヤカワ文庫SF)

夏への扉 (ハヤカワ文庫SF)

 

 

未来へ進んでいく。

 

そのことの楽しさをこの本で読んだときの、あの晴れやかな空の下に出たような、あの気持ちは、色あせることはない。

 

でもね、前に進む人ばかりだと後始末が大変だから、前に進む人・現在のことをきちっとする人、過去を振り返る人、いろいろいて、社会は成り立ってるんだと思うよ。