始めに
いつだったかまだ幼かったころ、鬼ばばあに追いかけられた夢を見たことがある。
それはこわかったね。もう全速力で逃げる逃げる。
そうしたら
「隠れなさい」
って言ってくれた親切な若夫婦がいた。とっても優しい声だったのをおぼえている。
隠れていたら、鬼ばばあがむしゃむしゃ若夫婦を食べている音がしたのだよ。
食べている場面は見ていないけれど、人を食べる音がどんなのだか知らないのだけれど、ああ食べられてしまっている、というのはわかった。
どうしたかって、私はその夫婦が食べられている間に逃げよう、と思って逃げたのだよ。申し訳ない、っていう気持ちより、助かった、という安堵のほうが強かった。
起きてから、自己嫌悪。私って、自分の事さえよければ他人を犠牲に出来るんだ、とその時知ってビックリした。それまでって、自分は優しい人間で自己犠牲が出来る人間だって思ってたんだね。
もう年も取ったから、自分にも醜い部分や自分勝手な面があるんだって充分知っている。どんな得意なことがあるか、とか、自分の特性もだいたいつかんでる。
それでも、ひょんなきっかけで、未だに自分の知らなかった一面を見ることがあるんだ。
まだ知らない自分がいる。
書くことで新しい自分を見つけて、誰と新しい出会いがあったらな、そんな事を願いながらブログを始めようかな。